構造材を県産材100%で建築する現場を見学しました。
見学させていただいたのは、山梨県韮崎市にある市川建設さんの現場です。樋口製材の木材を使っていただいてる建設会社です。現場は一般住宅の建設現場で、新築の柱と梁を含む構造材はすべて樋口製材で挽いたヒノキ材です。
市川建設さんの社長に対応していただきました。
集成材ではなく無垢材を使う理由はなんですか?
「集成材は時間がたってもよく乾燥しているので狂いがないから使いやすい。しかし、うちはべニア以外はすべて樋口さんの県産の無垢材を使っている。この家は垂木から構造材までぜんぶヒノキです。国産の無垢材を使う理由は、風土に合うのと建築屋のこだわり」
「風土に合うというのはどういうことですか?」
「雨が多ければ目がつむ。寒ければ目がつむ。その土地の風土で木は育つ。その土地の地質、季節、湿度、風で木が育つ。その土地で育った材を使って家を建てて人が住むのがいいよ。どの地域でも昔から当たり前にやってること」
「建築屋のこだわりというのはどういうことですか?」
「昔からこの土地で何百年と続けてきたことですね。この土地で育った木を使って家を作ること。昔は韮崎にも地場で製材するところが何軒かあったけどね」
「地場とはなんですか?」
「地域。地元で育った木を挽く製材屋さん。昔はこの上にもあったけど、今は韮崎に樋口さんしかないね。樋口さんのとこ行くと無垢材が間に合う」
「乾燥度合とか気にしますか?」
「もちろん。でも、高温乾燥ならいいということでもない。乾燥機に入れると、ねちがなくなる場合もある」
「ねちとは?」
「木の油。粘り。どうも高温乾燥すると油も一緒になくなるみたいだね。粘りがなくなる。プレカットも手刻みも寺社仏閣の建築もうちはやっているから、そういう違いもやってるとわかる」
「一丁どりっていって、一本の木から材を一本だけとること。だから年輪が1個だけ。芯を持ってる。芯持ち材という。芯持ち材で家を作る」
建築現場の様子
現場では柱、梁を組む作業を行っていました。
木材の骨組みが金属の足場に囲まれていました。その上をクレーンの先が構え、梁や柱を吊るしてゆっくり降ろしながら、梁と柱、梁と梁が組まれていきます。クレーンを使うと作業が大幅に効率化されるそうです。
「現場によってはクレーンが入れないところもあるけど、今は2トントラックが入れるスペースがあればクレーンもだいたい使える」とのことです。
「東京の土建屋さんは立派だよ。土地柄、クレーンが使えないところが多いから、全部手で組むんだから」
現場のわきに並ぶ角材は垂木用です。垂木とは屋根の下地、壁の下地になる部分です。こちらもヒノキです。
柱に墨で「い又一」と書かれていますが、これは柱番号といい、この番号は図面に書かれている番号と対応しています。こうやって決められた場所に決められた材が配置されていきます。
図面とは以下のようなものです(例)。
(図面の一例)
柱には乾燥過程で割れが入ることがありますが、強度には問題ありません。あらかじめ柱に縦に切れ目を入れて、あとから割れが入るのを防ぐこともよく行われます。
柱の端にはこのように加工してあります(プレカット)。今は効率化のためにこれを機械で行う場合が多いですが、これを人の手でやることもあります。機械の場合、誤差が少なく、効率化されます。現代の技術と昔の工法を組み合わせることが地域材を使う上で大事なのでしょうか。
屋根の構造材を作っているところです。
ほぞの結合やボルト締めによって、梁と柱を組んでいきます。ボルトの固定も大事ですが、木本体の交差形状(ほぞ)が強度を生む、加工面がうまく合わさることで強度が生まれます。
市川建設さん、ありがとうございました。
山梨県内・隣県で県産材の家をご検討なら、ぜひ市川建設さんにご相談ください!