土木工事、土木屋さんなど土木という言葉がありますが、なぜ木がはいっているのでしょうか。
辞書にはこうあります。
1 土と木。
2 土石・木材・鉄材などを使って、道路・鉄道・河川・橋梁(きょうりょう)・港湾などを造る建設工事。土木工事。また、それら建築物を造る産業。
3 《「土木工学」の略》土木2に関する理論と実際を研究する工学の一部門。「大学で土木を専攻する」出典:コトバンク
つまり木材を使って工事するから、木が入っているのですね。
でもここで、新たな疑問が生じます。
上記辞書にあるとおり、土木工事は土、石、木、鉄を使います。それぞれが大事な材料のはずですが、その中から、なぜ土と並び、木が選ばれたのでしょうか。木は土ほどにキーだったのでしょうか?あるいは、だれかのその場の気まぐれで木が選ばれただけなのでしょうか?いや、きっと、何かそれなりの経緯があったはずだ。そこで、調べてみることにしました。
土木という言葉の由来は2000年以上前の本!
「土木」という言葉は明治時代に作らたようです。そして、その明治の人が参考としたのが「淮南子」(えなんじ)という本です。
この本、前漢(今の中国の一地方)という時代に各地の学者を集めて作られた思想書だそうで、今から2100年ほど前の本です。現存しているのは21篇。学者たちが文学や学問、草木、天文、暦、地理などを議論したもので、中国の思想、歴史上、とても価値の高い資料と言われています。
その13巻目に「築土構木」という言葉があります。これは、穴や湿地に暮らし、夏の暑さや冬の寒さに苦しんでいた人々のために、「土を盛って木を組んで」家を作ってあげた、というくだりに出てくる四字熟語です。
日本では、明治時代に、この単語から土木という言葉を作ったとのことです。
なるほど、土木という言葉は遠く中国の地の、2000年も前に書かれた本の言葉から生まれていたのですね。しっくりきました。
出典:①土木学会HP、②「淮南子(中)」楠山春樹著(明治書院)、③淮南子Wikipedia、④土木学会誌「土木の『意味』を考える」藤井聡著、⑤コトバンク