家族を支える主(あるじ)を「一家の大黒柱」と呼んだりしますが、もともと「大黒柱」とは日本の伝統建築で用いられる言葉で、家の中央位置で使われる他の柱より太い柱を指します。
この柱の材料には昔からケヤキが使われてきましたが、なぜケヤキが選ばれたのでしょうか?
ここでは、ケヤキとはどんな材かご紹介します
ケヤキとは?
ケヤキは高さ20メートル以上の高木に育つ落葉広葉樹で、公園や街路樹によく植えられます。
本州、四国、九州のそれほど標高の高くない場所に自生し、手に入りやすい部材と言えます。北海道の山には自生しませんが、函館や札幌では街路樹として植えられています。
なぜ大黒柱にはケヤキが使われるか?
大黒柱にケヤキが使われてきた理由は以下です。
ケヤキの強度と耐久性
ケヤキは硬くて強度が高く、耐久性に優れています。そのため、ケヤキは長期にわたり建物を支える大黒柱の材として適していました。
清水寺の舞台のケヤキの柱、薬師寺の東塔の部材、江戸時代に建てられた古民家や武家屋敷の大黒柱などもケヤキです。材としての寿命はヒノキほどは長くないものの、数百年保つ部材であることは分かっています。
また、コンクリート製が主流になる前、木製電柱の樹種もケヤキでした。船舶の部材にも昔はケヤキが使われていました。
耐湿性と腐りにくさ
ケヤキは湿気や虫害に対して強く、日本のように湿度が高い気候でも劣化しにくい特徴があります。そのため、湿気の影響を受けやすい建物の土台にも使われます。
美しい木目
木目が美しく、磨くと滑らかな光沢が生まれることもケヤキの特徴。家族の象徴的な存在として、見栄えの良いケヤキの大黒柱は良材として重宝されたのです。
その美しさから、寺社仏閣の本堂や和箪笥などにも利用されてきました。
加工のしやすさ
ケヤキは硬さがある一方で粘りがあり、職人が道具で加工しやすい部材と言えます。設計に合わせた刻みや仕上げがしやすいのが特徴です。
このように、ケヤキは強度、耐久性、美しさ、加工性のバランスが良い部材。人が利用してきた歴史が長く、技と知恵が集積した材と言えます。そのことが大黒柱として使われてきた理由です。
今もケヤキの大黒柱は手に入る?
ケヤキの材は杉、ヒノキより手に入れにくい材と言えますが、製材所では今も手に入ることが多いです。樋口製材でも大黒柱や天板が手に入ります。
以上、『大黒柱といえばケヤキ』はなぜ? でした。ケヤキの材もぜひ樋口製材までお問い合わせください。