木は伐採されれば命は終わり。ですが終わりは始まり。そこから木の次の一生が始まります。
山で植わっている木が材になって、私たちの生活に使われるまでの流れをご紹介します。
伐採
木材には、自然に育った『天然木』と、林業従事者が育てた『植林木』があります。
天然木・・・自然に育った木を伐採して得られる木材
植林木・・・林業などで計画的に育てられた木を伐採して得られる木材
天然木にはクリ、サワラ、ケヤキ、松などが採れます。植林木は杉、ヒノキ、唐松が多いですが、中にはアカマツの植林もあります。
時間をかけて少しずつ育った木ですが、植林木なら定期的に枝打ちするなど手をかけて育てられます。
伐採される時期は様々ですが、樹齢40〜70年が多く、中には100年を超える大径木も。チェーンソーで木の根元を切り倒します。
昔は、林業従事者が『木の含水量が減る』と経験的に知っていた『秋口から春先』の時期に伐採しました。今は乾燥装置で十分乾燥できるため周年で伐採されます。
⇒こちらもご参考下さい:『木の含水量の季節変化』
搬出
山から切り出された木は『原木』と呼ばれ、競りや市(いち)のある場所まで搬出されます。
搬出は専用の搬出機やトラックにより行われます。同じ長さに切りそろえて効率的に運び出します。昔は人力、トロッコ、鉄砲堰、木馬、修羅などの方法で搬出しました。
鉄砲堰・・・谷筋に堰を設けてダムのように水を溜め、そこに木材を水面に浮かべておき、堰を切って、鉄砲流しの原理で木材を下流に流す搬出方法。
木馬(きんま)・・・木材運搬に特化したそりで、盤木 (ばんぎ)という木の線路のような搬出路の上を人力で引く搬出方法。
修羅・・・谷筋に丸太を縦に並べて半円形の溝を作り、その中を滑らせる搬出方法。
競り、市(いち)
山から切り出された木は落札されます。魚市場と同じ原理で、一番高い金額を付けた人が買います。大きい落札品なだけに、買った木材をすぐにトラックで持っていく方もいれば、しばらく市に置いておく方もいます。
競り・市を介さずに、直接製材所に持ち込まれる木材もあります。個人宅の庭木や所有する山の木を個別に切り出した場合などです。
製材
落札した原木は製材所で用途に合わせて製材されます。木にはくせがあり、割れやすい方向や曲がりやすい方向があります。強度も製材の仕方で変わることがあります。そのくせをその場で見極め、木の良さを最大限引き出す製材を行うには、長年の経験に基づく勘どころが必要となります。
このようにして、山の木が材になります。