秋の空は春の空に似ていて、山肌より上を眺める分には、5月のときとあまり違いを感じません。
しかし地面に目をやれば、同じ茶色味を帯びた地面でも春とは違う風景が広がります。稲刈りの終わった水田、実ったエゴマなど。『実りは地面でもたらされる』、当たり前のことだけど、そんなフレーズが浮かびます。
北杜市でトラクター庫を建て終わり、次にそれよりも一回り大きい陶芸小屋を建て始めた花輪さん(前回記事⇒『DIYでトラクター小屋を建て、これから陶芸小屋を建てる』)。その陶芸小屋をほぼ建て終わったとの連絡をいただき、再訪。その様子をお伝えします。
再訪は10月で秋。前回伺ったのは5月で春。
DIYで建てた陶芸小屋
こちらがDIYで建てた陶芸用の小屋。吊り戸はまだ製作中ですが、それ以外の部分は完成。塗装も完了。母屋(写真左)と同じオイルで塗ったため、統一感があり、ひと続きの建物のようです。
吊り戸を設置後、釜を置く予定とのこと。釜は灯油燃料。
二本の梁を蟻継ぎの柱がつないで強度を増します。
筋交いを交互の向きに入れて耐震補強。
陶芸小屋の北側には収穫期を迎えたエゴマ畑が広がります。エゴマは地元メーカーに卸しているそうです。
陶芸小屋を作り終えて「大きいのは当分もういいや」と花輪さん。そう言いつつも、もう次の大物に取りかかっていました。それはソファー。
素材はツガ(栂)。昔、譲り受けたものという。国産のツガといえば、亜高山帯に生息する硬い木で、伐採量はごくわずか。樋口製材でも多くは見かけません。生長が遅いため、杉、ヒノキのように植林されることはなく、そのため自然林で生えているものがまれに流通する程度。その強度や詰んだ木目から、ヒノキよりも評価の高い銘木とされます。これが国産のツガなのか米栂(ベイツガ)なのかまでは分かりませんでしたが、手にしたところ軽くて強度のある木材であると感じました。
ホゾで組まれた骨組みは、いくら見ていても飽きません。なぜか。ホゾの部分から、時を超えて、作り手のまごころが染み出してくるから?湧き水に人が惹きつけられるように、ホゾという『まごころ湧水地』に私は惹きつけられたのでしょうか笑
ガレージの入り口にはさりげなく収納棚が設置されていますが、これがすごい。よく考えられています。シンプルな構造なのでモノが取り出しやすいし、並び順も変えやすい。だから、ほうきやスコップ、くわなどの道具を大きさや種類ごとに整理しやすい。アイディアは人の動きや時間を変えるってほんとだ。
以上、北杜市で陶芸小屋をDIYされた花輪さんのご紹介でした。釜が設置されてからまた伺ってみようと思います。
と思っていたら、またお電話いただき『戸の設置が終わった』とのこと。それを見たくて、早速次の日の朝に花輪さん宅に伺いました。
エゴマ畑は収穫を終えて、きれいになっていました。
花輪さんがまず見せてくれたのは、試作の小さな戸。母屋を工務店に建ててもらったときに、建具屋さんが作ってくれた室内の戸を観察してその構造を『こういうホゾで、組み合わせてあるんだろう・・・』と予想して自分で試作した戸でした。その縁部分を外して、その仕組みを教えてくれました。『よくできてるよなあー』と花輪さん。
その試作がうまくいったため、本番でもそのやり方を採用。それでできた戸がこちら。塗装も終えて、きれいに仕上げている。
とても精緻に仕上がっている陶芸小屋。ですが、花輪さんは会話で、「ここがうまくいかなかった」「あそこが○○だからダメだった」と反省点を挙げることが多かった印象を受けます。当初からそうでした。
仕事にしろ趣味にしろ、追求する以上、満足はないということでしょうか。「満足すること」は「慣れること」で、「慣れること」は「止まること」なら、花輪さんが反省点ばかり挙げたことも分かります。
でもお顔はいつも楽しそうでした(^^)
花輪さん、楽しいお話をいろいろ教えていただき、ありがとうございました!
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